【弓道】スポーツや体育会系クラブが苦手でも弓道を続けられている理由

緊急事態宣言で道場がずっと閉まってて弓が引けないので、代わりに弓の話を書きます。

自分は基本的に運動は苦手だし学生時代も体育会系クラブには入ってなかったのですが、弓道は続けられてます。

最初は弓道教室だったんだけど、その後も続けられている。

なぜかというと社会人弓道が、割と緩いところが続けやすい理由なんじゃないのかなと。
自分から見た、続けやすい理由を挙げてみます。

  • 理由その1:出席強制されない。
    個人競技・個人での稽古が基本なので、毎回クラブ(サークル)で集まるのではなくて一人で道場に行けばよい。
    毎週集まりがあるから来てね!というのではない。
    弓道のクラブに入っていると「月例会」などはあるが、大抵は強制されない。
    少なくとも、出席しないからと言って追い出されることはない。(講習会などもあるから出たほうが良いとは言われるけど)

  • 理由その2:上と絡むが、個人で稽古するものなので、「クラブの集まる日に行かなかったらその後行きづらい」ということがない。
    行った時にペアやチームを組んでくれる相手を探す必要もない。行かなかったから人数が足りなかったということもない。
    「自分は下手なので対戦のときにチームに迷惑をかけてしまう…」ということも気にしなくて良い。(もちろん、試合で団体戦を組むことになったら欠席すると困るけど、普段の稽古はそんなものがない)。
    例えるなら、ゴルフの打ちっぱなしに行くような感じ。一人で行って、自分の引きたいペースで引いて帰る。

  • 理由その3:運動神経・反射神経を求められない。
    (これ以上言うことが無い)

  • 理由その4:下手でも(≒的中が悪くても)、試合に出られる。
    高校や大学の大会や対抗戦だとクラブとしての勝敗が絡むのでどうしてもレギュラーに入らないと参加させてもらえない。社会人弓道の大会は個人戦だし、大抵来るもの拒まずなので申し込めば参加できる。


逆に、続けにくい環境とはどんなのがあるかと考えてみると…。

  • その1:教え魔がいる
    知り合いでも無いし頼んでもいないのに、指導したがる古株がいると、鉢合わせないようにと思うと道場に行く足が重くなる。
    (どこでも聞く話ですね)
    これは道場によります。面倒くさい人がいる(その弓道場をホームグラウンドにしている人)弓道場と、そうでも無い弓道場とか。
    あと平日だけ射るとか土日だけいるとか。
    これは避けるしか無い。


    こっちが逃げるの面倒じゃない?と言うときは、師事する先生を決めて、見て貰うようにお願いする。その上で、「○○先生に習ってるので他の人の指導は結構です」と伝える。

  • メリットの逆で、一人で引きたいときでも団体行動に巻き込みたがる人がいると面倒くさくなる。

    うん、あまり弓道だけの話では無いね。

小説:我孫子武丸「凛の弦音」(光文社)

我孫子武丸「凛の弦音」(光文社)

今年は弓道をメインに扱った小説が多いですね。

中学の時から弓道をしている女子高校生・凛が主人公。

顧問を辞めた弓道部の恩師の家にある弓道場で、矢で人が殺される事件が発生して、先生が疑われるが、凛の指摘で真犯人を突き止める。

そんなこともあって学内新聞で大きく取り上げられてしまって目立つことになってしまう。当の放送新聞部篦、先輩中田も、凛や部長の弓道の活動を撮りたいといってビデオカメラを持って日参し、ネットに上げられた動画で密かに話題に。

指導者不在の中、新任の先生が弓道指導者として入ることになり、斜面打ち起こしでバンバン中てる姿に部員は熱を上げるが凛はしっくり来ない…。

前の先生から射品射格を言われてきたので、的中優先に見える新しい先生に疑問を持ったり、みんなが斜面に変えて的中が増えてるのに自分はスランプで悩んだり弓引きにありがちな悩みとか、凛をライバル視する他校の女子が出てきたり、大きな事件は起きないものの展開は弓道べったりで楽しい。あまり細かい弓道解説もないし。

以下ネタバレ的な話になるけど、難を言えば、代表選手になるほどでもない割りに凛が割と上手いあたりで、中学のうちに弐段まで取ってたり、自己ベストは射詰め20射だとか、レベルを高く設定し過ぎでは、と思える辺りか。

また、自分は射品射格を目標にしてきたけど(注:あくまで弐段です)、ライバルと対戦したときにライバル自身が映像を見返して凛の射に負けたといってくるところとか。射の違いは、見れば判るものだけど、違いは判ってて自分の射を選んでたのでは?と思った。

とは言ってもそれが作品の魅力を損ねるわけではない。まあ、ドラマ向きだなと思った。

あとがきで作者が書いてるけど、奥さんが弓道五段で、作者も弓を初めて初段になってるとのことで、弓の描写は安心して読めます。

相戸結衣「流鏑馬ガール!青森県立一本杉高校、一射必中!」

相戸結衣「流鏑馬ガール!青森県立一本杉高校、一射必中!」(ポプラ文庫ピュアフル)

売ってる店が少ない『ツルネ』をジュンク堂に買いに行ったら見かけて知った作品。

舞台は青森県十和田市。主人公の舞衣子は今は高校一年で弓道部に入っているが、昔小学生時代には流鏑馬の大会に出ていた。しかし今は苦い思い出があって流鏑馬からは遠のいている。

東京から青森に来たという同級生の美鶴が弓道に関心がありそうだから声を掛けようと思ったら、実は元国体少年の部の選手だった。弓道部に誘おうとしたものの、競射では高い的中を見せたものの入部はしないという。それよりも流鏑馬をしたいという。

実は美鶴は昔舞衣子が流鏑馬の大会に出場した際に舞衣子の姿に憧れて、東京から十和田までやって来たのだった。美鶴が熱心に舞衣子を流鏑馬に誘おうとするが、舞衣子もあまり乗り気じゃない。美鶴と近づいたり仲違いしながら舞衣子は弓を引いていたが…。

美鶴が弓道(近的)はせずに流鏑馬に注力したい背景とか、色々あるのだけど、弓道の話というよりは「流鏑馬」を巡る女の子2人の友情の話として面白い。

というか実質流鏑馬の話なのでタイトルの弓道部あまり関係ない。

ちなみに読む前には小学生や高校生が流鏑馬なんて出来るの?と思ってたけど、実際に青森県十和田市では神事ではない流鏑馬が盛んで、今では「世界流鏑馬選手権」なんてのもやっているんですねえ。

追記:神事じゃない流鏑馬と言えば、「スポーツ流鏑馬」というのをやってる人達もいて、「スポーツ流鏑馬入門」という本も出ています。