【模型】影と陰、シャドーとシェードって?

最近のプラモの塗装では「プレシェーディング」とか「ハイライトとシャドー」って言葉がよく出てくるようになったけど、言葉の選びかたに疑問を感じることが多いので、考えてることをまとめて見た。

最初に「陰」「影」「シェード(shade)」「シャドー(shadow)」の違いについては、一般的な単語の意味や、絵画(美術)系ではこんな感じ。

デジタルカメラでも暗部と明部のバランスを見るときに「ヒストグラム」などで見ているが、暗部のことを「シャドー部」と呼ぶことも多い。
この場合は「影(Shadow)」という元のニュアンスから離れて、「とにかく画面の中で色が暗いところ(黒に近い方)」を指すことが多いですね。照明が当たっている場所でも色が「黒い被写体」はシャドー部にいってしまうので。

模型に話を戻すと。ミリタリーフィギュアを作られる海外モデラーには、全体に黒を塗装した後に、斜め上の光源部分から白などをエアブラシで吹いて、白に黒い「陰」が入っているベースを作成した上で色を塗る上で「陰」部分が自然に暗くなるという技法をつかわれているかたを見かける。

デジタルイラストで言うと「グリザイユ技法」にもにたところがあって、無彩色(白黒だけ)で濃淡を表現してから後から彩色することで、「濃淡」を自然に反映させるというところが似ている。

一方で、AFVや飛行機で、「プレシェーディング」と言って、下地の時点で黒っぽい色の上にまだらに明るい色を吹き(またはエッジないし隅を暗く残して明るく吹き)、その上から本来の色を薄く吹き付けると下地の明暗が塗装色に反映されるという技法があって、この下地を「プレシェーディング」と呼んでいる。

明暗を上の塗装に反映させるというのはフィギュアの陰の付け方と似ているが、この明暗は「シェード(陰)」なんだろうか。
光が入りにくい隅のほうを示す場合はシェードだろうけど、「塗装面に表情をつけるためにばらつきを出す」「エッジを際立たせるためにエッジの境界を暗くする」のは「シェード」なんだろうかという疑問がある。

英語圏の誰が言いだしたのか判らないけど、変な用法に感じる。

例えばシマウマの縞を書くことをシェーディングとは言わないだろう。単なる色の塗り分けだ。
平坦な面で、光の加減に関係がないのをパネルの境目で暗くしたりするのは果たして「シェード」なんだろうか。

また、その流れで、「暗部」の色を暗くするときに「シャドーを塗る」という人が居るが、この場合は「影」ではなくて「陰」なので「シェード」が正しいと思う。

【模型】「ウェザリング」について

プラモの「ウェザリング」について考えてみる。

昔々は「汚し塗装」としか言ってなかった。泥汚しとエッジの金属はげチョロ表現。ハゲというよりブラシでこすったような感じだったかも。
それがいつからか「ウェザリング」と呼ぶようになったが、誰が言い始めてどこから輸入されたのかよくわからない。

この「ウェザリング」という言葉は英語だと”weathering”で「風化」「風化作用」のことだ。「泥汚れ」などは指していない。

それがなぜ汚しも含めて「weathering」なのか。英語圏の人達は「風化」を指す単語で「汚し」を指すことをどう考えてるのかは気になる。

まあ「ドライブラシ」をはじめとして造語もいろいろあるので、単語の本来の意味だけにとらわれても仕方ないのだけど、改めて「ウェザリング」を考えてみる。

「weathering」本来の「風化作用」を考慮すると、プラモデルの「ウェザリング」は以下のように分けられるのではないか。
(ちなみに「ウォッシング」「ドライブラシ」「チッピング」や「ドッティング」などは技法の呼び名であって「模型上に再現したい風化・汚れ」では無いので今ここではその言葉では分類しない)

※この下↓に表があるけども、Wordpressが謎の改行をいれるのですごく間が空いてます。





















































効果の分類 効果の内容 主な要因
風化(Weathering) 退色・変色 日光・雨・水・風
風化(Weathering) ひび割れ 日光・寒暖差・雨・水・風
表面や隅に溜まる汚れ 砂・土・草 地面の土、ないし砂の混じった風による。
泥汚れ 砂・土・泥 地面の土や砂、泥が足回りを中心に付着する。泥は根の汚れも含む。
汚れ(の付着) 排気口からの排煙・砲煙など
汚れ(の付着) 油汚れ 隙間から染みた油、こぼれた燃料・潤滑油など。
擦れた汚れ 土・砂 搭乗員が歩いたことで付着
擦れた汚れ 塗装はげ ヒンジなどこすれる部分の剥がれ。
人がよく触る部分の剥がれ。機械同士で接触がある部分。他の物に当たったりこすったりした傷。強い風の中の異物などがあたったもの。
塗装 リペイントしたことによ色の違い 部分的に塗装したことで周りと色が異なる。

こうやって挙げてみると「そりゃ知ってるよ」って感じになるが、それぞれの出来る順番などを考えて、「汚し技法」を機械的に適用する前に、汚れのカテゴリーを念頭に置きながら今は何を再現(何の効果を再現)しようとしているかを考えて行けばいいのかなと考えているところ。

【模型】ドイツレベル 1/72 レオパルト1A5

ドイツレベル 1/72 レオパルト1A5作りました。

2023/6/6に作り始めて、キャラピラ以外は3日目に組み上がっていたのだけど、そこからなんやかんやしてると時間がかかって、完成したのは7/9でした。
ほぼ素組みの1/72で一ヶ月もかけていると1/35だと1年に数台しか作れないのでもっと早く作れるようにしたい。

■実車について
レオパルト1の初期の鋳造砲塔車輌のレオパルト1A1は、その後で生産されたレオパルト1A2に比べると装甲が薄く、手法のサーマルジャケットがなく、サイドスカートもなかったので、近代化改修として、増加装甲を付けたレオパルト1A1A1に改造された。
その後、パッシブ暗視装置を付けたレオパルト1A1A2にも改造された。

さらにその後、火器管制装置などをアップデートして、EMES18というレーザー測遠機と赤外線暗視装置を統合した火器管制システムを搭載。これはレオパルト2相当の装備になった。
測遠機がレーザーになったことで、従来砲塔の左右に突き出ていた光学式の測遠機は撤去されている。

(VANGUARDの本を見たら、その後呼称が変更されてレオパルト1A5は1A5A1ににあったという記載があるが、あまり普及してないみたいなのでここでは1A5で通す)

■キットについて
ドイツレベルは1/72でドイツ陸軍のAFVを色々出していますが、このキットは割と感じがいいです。
砲塔や増加装甲もこのままでも見栄えするし。

ただ、増加装甲を砲塔に付ける際に,やたらステーが延びていたけど実車にはないので全部削り取った。

防楯についてル増加装甲には溶接後が目立つので伸ばしランナーで再現した。

その他、ワイヤーロープはプラ製だったので、電気コードをよじったものに作り替えて(手頃なアクセサリーがみつからなかったので)、ゲーブルを取り回す際のステーは真鍮戦で自作した(オーバースケールだけど、小さすぎると固定出来ない)。

塗装はガイアノーツのNATOグリーンをエアブラシで拭いた後は、VICカラーのNATOブラウンとNATOブラック筆塗り。

迷彩は苦手だったが、これは境界がシャープな塗り分けなので、エアブラシンフリーハンドでは難しいため、筆塗りしようと考えていた。(マスキングするには細かい部品や凸凹が多い)。

筆塗りは、ムラが出来たり下の塗装が剥がれてきたりするので苦手だったが、VICカラーは水性で割とすぐ早く乾き、自己平滑性でムラがでにくいということなので試してみた。1回では塗料が載らないが3回ほど塗るとちゃんと色が乗ったかな。

ただ、この時点ではやたら明るくておもちゃっぽいので、エナメルのブラックとレッドブラウンとダークグリーンを混ぜたものでウォッシングして全体を暗い色調にした。(実車は迷彩パターンがもっと視認しにくい)

また、1/72は近づかないとモールドがわかりにくいのでちょっと大げさにスミ入れしてある。

ドライブブラシなどのハイライトは入れていません。

OVMは車体に一体化しているし面積も小さいので、筆を寝かせて塗るとはみ出る。なので、極細面相筆の先でチョンチョンとつついて塗料を置く感じで塗りました。

※色々書いているが、こうやって塗るもんだぜということではなく自分でも初めてなので記録のために書いています。

①素組みの状態。増加装甲のモールドもいい感じのキット。手すりはもっと細いのだけどこのままにした。

②防楯の溶接痕は追加した。

③NATOグリーンの上に、VICカラーのNATOブラウンとNATOブラックを筆塗りし終わったところ。
やたら明るいし、おもちゃっぽい。

④デカールを貼ってからクリアーでコートした後でウォッシングとスミ入れをした状態。

⑤完成品

⑥タミヤエナメルと比べると大きさはこれぐらい。

■2023/7/11のキシダ模型閑古鳥ライブで紹介していただきました。

■参考資料

  1. PANZER臨時増刊「世界のMBTシリーズ レオパルト1&2」サンデーアート社(1983年刊)
    古いので、レオパルト1A1A1までしか載っていない。またレオパルト1はみんな迷彩していないが、砲塔などのアップがあるので参考になる。
  2. 「LEOPARD 1 and 2 THER SPEARHEADS OF THE WEST GERMAN ARMOURD FOURCES」Concord(1990年刊)
    レオパルト1A5登場後。カラーは少ないが、ワイヤー取り回しなど参考になる。カラーの色調も確認出来る。

  3. 「ARMOUR OF THE WEST – NATO’s AFNORTH & NORTHHAG」Concord(1992年刊)
    ドイツ陸軍だけでなくイギリスやベルギー、デンマーク、オランダなどのAFVが出てくる、レオパルト1A5比率は低いが、カラーで3ページほど載ってる。むしろチーフテンMk.11、チャレンジャーの写真が格好いい。

  4. 「NEW VANGUARD 16 LEOPARD 1 MAIN BATTLE TANK 1965-1995」OSPREY(1995年刊)
    手持ち資料では一番新しい時期をフォロー。レオパルト1シリーズの解説や開発、近代化改修の記載あり。レオパルト1A5についても。

  5. 「PANZER 1986年6月号」サンデーアート社
    「最近のレオパルト1シリーズ(1)」という特集がある。ディティールの参考というよりは近代化改修の説明として。

【模型】アオシマ1/24 JPNタクシー

アオシマ1/24 JPNタクシー(国際自動車)作りました。
これは開始自体は2023/3/30に作り始めていたのだけど、途中ちょっとつまずいたりして、2023/6/25にやっと完成しました。

キット自体は作りやすくて大きな問題は無し。

内装などをトヨタのページで見ていたので、内装の塗装は実車に近づけようと考えていました。

内装の上半分はちょっと白っぽい感じのグレーなので、指定色のガルグレーは使わず。
しかしマスキングが大変そうなので筆塗りしたらこちらも結構大変だった。(下地が透けない)

ボディはインディブルーとブラックをあわせたものを塗装。デカールを貼ってガイアのExクリアを何回か吹いてから研ぎ出そうと思ったら、デカールを乾かそうと思って乾燥機に入れすぎてたせいか、デカールひび割れしてた。。。。

しかしすでにクリアーを吹き始めていたので剥がすわけにも行かず、そのまま突っ切ることにした。

クリアを完走させた後、3000番ぐらいのペーパーかけてからコンパウンドで磨いてみたが細かい傷が消えなかったので、シンナーで薄めたクリアーをさらに吹いたところ、傷が隠れて艶も出たのでまあいいかということにした。

ウィンドウ類はマスキング用シールがついてたのでそのまま使わせて貰った。楽ちんだった。

内装はこんな感じだが組むとほとんど見えない。

ドアを開けるとこんな感じ。ちなみにドアはスライド式ではなく、閉状態か開状態を選ぶようになっている。

この作品はキシダ模型 閑古鳥ライブで紹介して貰いました(2023/6/27)