2009-09-28(月) [長年日記]
_ 雫井脩介『殺気!』(徳間書店)
『クローズド・ノート』『白銀を踏み荒らせ』『犯人に告ぐ』の雫井脩介書き下ろし新刊ハードカバー。
主人公も新しいし今までのシリーズとは独立した話かと思ったら、望月篠子のシリーズの相棒「深紅」の血縁だった。(深紅はでてくるが篠子は出てこない)
大学生のましろは、小学生の時公園で連れ去りにあって監禁されたことがある。犯人は見つからず監禁されたところを見つかったものの、その時のショックが強くて医師に記憶を封じる治療をされたおかげで事件のことは何も思い出せないぐらいで、別に今の生活に何の支障もなかったが、事件の前触れとして殺気を感じるようになっていた。
バイト先の縁で知り合った地元タウン誌の記者とそんな話をしながらも中学時代のクラスメートと成人式で再会しては旧交を温めたりしているうちに、当時自分が巻き込まれた事件の事実を知りたいと思い始めたところ、思わぬ裏の出来事が明らかになってきて…。
という感じで、事件ものなんだけど警察や探偵は出てこない。むしろ『クローズド・ノート』に近いんじゃなかろうか。
事件の真相を知りたい、、といっても途中までは別に危ないことがあるわけでもなく、周りで別のごたごたがあるだけなんだけど、いろいろめぐりめぐって起きるべくして起きるようなできごとがあったり、ましろのちょっとまっすぐなところも周りにちょっと作用したり、読んでると例の事件には「興味がある」程度で、友達との出来事のほうが大事そうなのに読み終わってみると、すべてがここに至るために必要な出来事だったという感じがする。
緊張感があるのは最後のほうだけなんだけど、一気に読んでしまった。もったいなかったので2回目を読む。
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