2010-05-15(土) [長年日記]
_ 石持浅海『攪乱者』(ジョイ・ノベルス)
攪乱者 (ジョイ・ノベルス)
実業之日本社
¥ 922
Amazon
石持浅海のノベルス新刊。
タイトルの攪乱者は、主人公たちを指す。 主人公たちは日本の反政府テロ組織の末端細胞に属するメンバー。テロといっても武装テロを行うわけではなく現政府に対する不安を煽ることを持って転覆の機会をねらっている。
そんな中で主人公たちは、一見意図がわからない攪乱工作を指示される。レモンをスーパーの売り場においてくるとかアライグマを公園に捨ててくるとか。目的がわからない活動にとまどいつつ、指令を達成する主人公たちのガス抜きやくというか納得させる役として組織の別メンバーが折に触れて指示の意図を解釈していく。
そんなこんなでよくわからない任務を続けていくが、ちょっと気を利かせたことがきっかけで大きく揺らいでいくことになる・・・
一見繰り返しが多い展開なのだが、テロ組織の3人の視点を交代させながら見せることで、読んでる側は登場人物たちよりは多くものが見えてくる様な気がする。といってもそのときの語り手の視点からしか見えないので、肝心なことは見えないのだが。。。
最後の展開が、登場人物たちを突き放していて冷徹。
©vette<vette@mail.ne.jp>