2010-05-16(日) [長年日記]
_ 石持浅海『温かな手』(創元推理文庫)
温かな手 (創元推理文庫)
東京創元社
(no price)
Amazon
石持浅海の2007年に出た本が、文庫になりました。元の本は入手していなかったので初めて読む。
この話は『BG、あるいは死せるカイニス』と同じように、現代日本の普通の男女を登場させているようでいてSFチックな設定なっていて、その設定の基で事件が起きて謎が解かれたりする。
『BG』の場合は、その舞台設定固有の「常識」が読者の常識と違うことことが台詞の端々のヒントに気づきにくくするようになっていたが、今回は事件や謎解きには余り関係してないのな。だからよけいに「なぜこんな設定にする必要があったのか」と思わせる部分がある。作者があとがきで一応説明しているが、それはほんとにその設定で満足させる必要があるのかと思うが:-)
とかいいつつも、ラストに向かって(読んでる最中はそのラストに向かってるとは思えないけど)その設定が意味を持ってくるところかは好きだなー。
まあそれよりも、東川篤哉によるあとがきが楽しい。
石持浅海のBGやガーディアンといった妙な話、普通のミステリーじゃない話が好きなファン向けの石持論になっている。BGとかが「裏ベスト」かどうかというやりとりもファンならではの与太話。
ちなみに、わし的には『BG』は表ベストです。
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