2010-07-03(土) [長年日記]
_ 池井戸潤『不祥事』(講談社文庫)
不祥事 (講談社文庫)
講談社
(no price)
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普段銀行モノとか経済小説とか読まないのだけど、読む本もないのでいろいろ店頭であさってて買ったもの。
不祥事というタイトルだけど、不祥事問題が本筋ではなくて・・・。 た花咲舞は事務のスピードが早くて正確な有能な店頭窓口のテラー。でも正義感が強くて暴走気味なので「狂咲」という異名もあって…。
その舞が事務トラブルを起こしているような支店に対して指導にあたる臨店チームに配属になって、行く先々でいろんなトラブルに出会うが、悪意を持った事件や、お客様より出世のことを考えていたり行員の幸せを考えないエリート行員が起こす騒ぎに怒って突き進む。
悪役がたまに悪代官みたいないかにもな悪役になってるときもあるが、事件のうらに隠れた真相を暴きながら啖呵を切る花咲舞というのは花があるなあ。つーかTVドラマ向きというか。
上司の心配もなんのそので突進するヒロインというのは、やや典型的なところもあるけど読んでいて爽快。役どころがちょっと違うけど、石持浅海『賢者の贈り物』の磯風さんを思い出した(磯風はかなりミステリアスだけど)
_ ジャクリーン・ケアリー『クシエルの啓示(1) 流浪の王子』(ハヤカワ文庫FT)
クシエルの啓示〈1〉流浪の王子 (ハヤカワ文庫FT)
早川書房
(no price)
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とうとう第3部で通巻7冊目です(同時期に刊行されてるミストボーンとほぼおなじ)。
メリザンド・シャーリゼの陰謀を砕いてクーデターも抑えることに成功して終わった前回。今回はいきなり10年経ってます。フェードルも30代に…。その分お勤めの話はダウンです。
前は、捕まったり牢獄に閉じ込められたり海賊に拾われたりで波瀾万丈って感じだったが、今回はもうちょっと落ち着いている。でも、やはりメリザンドが生涯の宿敵という感じで、まだまだメリザンドとイサンドルがフェードルを動かす中心に。
次の巻が重くなりそうな気もするが、残り2巻はすごく密度が高くなりそうな気がする。