2009-10-12(月) [長年日記]
_ 石持浅海『月の扉』(光文社文庫)
前日の『BG、あるいは死せるカイニス』が面白かったので、代表作っぽいものに手を出してみる。
この作品は、沖縄の那覇空港を舞台にしたハイジャック事件を描いたもの。といってもハイジャック犯と警察の駆け引きとかじゃない。
沖縄で、その日その時にあることを達成するために3人の犯人は離陸直前の飛行機をハイジャックして警察に要求を出す。
機内を制圧した3人だったが機内で他殺としか思えない事件が発生する。しかし誰がどうやって殺したのか分からない。タイムリミットが迫る中で謎を解こうとするが…。
展開はうまい。シリアスな事件の展開中に別の密室殺人が起きてしまって、ふたつの事件を進行する羽目になる犯人たちの立場も面白いのだけど、巻き込まれて謎解き役を押しつけられてしまった乗客の彼がほとんど探偵役のように疑問をつぶしていくのだが、半分やけになってるとはいえ、彼がやたら乗り気なのが読んでてちょっと気にはなった。文句を言いつつも協力的なのだよなー。まあ、要求を突き付けた後は待ち時間なので、犯人も一緒に謎解きに時間がさけてしまうのだけど。
最後は思わぬ展開が、、、ということにもなるが結局主役は語り手に近い聡美ではなく彼なのだろうか :-)
©vette<vette@mail.ne.jp>