2010-08-15(日) [長年日記]
_ 籘真千歳『スワロウテイル人工少女販売処』(ハヤカワ文庫JA)
スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)
早川書房
¥ 990
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えー、タイトルと中身が全然違いましたが・・・少なくとも「スワロウテイルという販売処」があるわけではないし「人工少女販売処」もない。
<種のアポトーシス>という謎の奇病により性交した男女が死に至る(どんどん若返って胎児になってしまったり)事態を防ぐために東京沖に作られた人工島で男と女が隔離されて暮らす。そこでは食料とエネルギーは新技術で解決されているので生活には全く困らないが、問題は相手。ナノマシンによる人工妖精<フィギュア>というモノが開発され、人間でない以外は食事も性交もして悩みもするという人工妖精が人工の半分を占めている。
タイトルとかから連想するとダッチワイフ的な対象を連想してしまいそうだが、普通に配偶者として男、女それぞれの地域に供給されてて、三原則も備えているという。
という舞台設定の上で、人間の男性を人工妖精が殺すという事件が続いたために調査をする自警団のリーダーが主人公。
事件に共通するヒントから犯人を捜そうとする中で思わぬつながりが…。
とかいう展開なのだけど、外見はかわいいくせに口の悪い戦闘美少女とか、子供みたいに見えるけど実は歳がいってる師匠とか、なんかマンガ的要素で詰まってるのですが。(つか、絶対こいつアニメ声)
スワロウテイルの背景とか苦悩とか、人工妖精を生み出した科学者(?)達とかが見えてくるところは面白いので、全体としては悪くないのですが。
とはいえ、配偶者に普通に人工妖精がいるのに人工妖精の権利保護団体とかへんでない?
_ 天野こずえ『あまんちゅ!(3)』(ブレイドコミックス)
あまんちゅ!(3) (ブレイドコミックス)
マッグガーデン
¥ 628
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今回は、"てこ"がオープンウォーターダイバーのライセンスを取るための話で終わったなあ。
ぴかりの台詞は「わたしは頭(おつむ)のメモリー容量が限られてるんですっ/だから幸せになることにしかつかえません」。
_ 館淳一『夜の写生会』(幻冬舎アウトロー文庫)
夜の写生会 (幻冬舎アウトロー文庫)
幻冬舎
¥ 713
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例によってタイトルを変えた再版もの。
オリジナルは1988年の『美雪・魔性の遍歴』だそうだが、今回のタイトルの方がずっとよいなあ。
性嗜好の百貨店とかいわれる館淳一だが、この作品では連載のために取材をすると言う形でいろいろなあり方を描いている。
それの背景に、若いのにやり手でおまけになぜか自分に好意を持っている女性編集者・美雪との関係と、少年時代の思い出が重なっていてえらく効果がでているなあ。まあ取材の方がおまけなんだけど。
(ただ、呼んでるとどうも主人公のイラストレーターが50ぐらいの男のような気がしてくるんだけど、設定は30過ぎなんだよなあ。若く感じないのがちょっと残念)
それでも最後が「おにいちゃん」と呼ばれる関係というのが館淳一らしくてにやっとしてしまう。