2010-12-27(月) [長年日記]
_ 内田樹『街場の大学論 - ウチダ式教育再生』(角川文庫)
年末の新刊。読んだことがある原稿が多いが。『狼少年のパラドクス - ウチダ式教育再生』の改題なので持ってる人は気をつけて。ただし文部科学省の課長さんとの対談の続きが載ってる。2006年の対談から4年経った2010年の分です。
これを見ていると結構かみ合ってるのだけど、やっぱりお上が直接こうしなさいとかでもこの程度でいいからねとか言いにくいところがあるので、そうすると言われた側は忖度してやり過ぎてしまうのだなあ。まあCMMIとかISO9000にもその傾向はあるが(あれはお上ではないのだが、まあ認証機関や世間を気にすると)。
書いてる内容はたぶん内田樹のどの本でも同じなのだけど、18歳人口が減っていくのはわかってた(わかってる)ことなので、さらに拡大してパイの取り合いをしてどっちかが倒れるよりも規模縮小をした方がよいと言うはなし。総定員数を減らすときに、大学の数を減らすよりは各大学の規模を小さくする方が地域社会への影響が少ないことなど。後は生き残りのために合併や新学部をどんどん増設して似たようなマンモス大学をつくるよりも多様性があったほうがよいことなど。オックスブリッジがいいと思うなら人数を減らせとか。(規模がでかくなりすぎると大学人ではコントロールできず、ビジネスライクな経営者でないと回せなくなり、そうすると学生が納付金を納めてくれる頭数にしか見えなくなるから)
あと、前は出来の悪い教員・働かない教員を働かせるためにするのが重要と思っていたがそのために出来る人が疲弊することの損失が大きいので、出来る人により気持ちよく能力を発揮してもらえるようにする方が大事だと思っているということなど。
最後は単純には首肯しにくい。大学では当てはまるのかな。うちのようなソフトウェア受託開発の会社だと現場のお客さんからの評価というのもあって、めちゃ出来るスーパーマンに頼った会社はその人が異動したりすると困るから、底上げが大事なのだよな−。まあもともともの平均的なモチベーションの高さ(逆に言うと無駄飯食いの比率)にもよるかもしれないけど。
_ 『季刊GELATIN(2011/ふゆ)』(ワニマガジン)
何となくマンガ作品ではあまり印象に残るのがなかった。
加茂さんはデザインガーデンのコラボでiPhone4ケースとTシャツが。(他の人のもいろいろあるけども)