2010-01-10(日) [長年日記]
_ おかざき真理『サプリ(10)』完結(FEELコミックス)
『サプリ』が完結。表紙のノリも普段と違いますな。いつもの半透明なシートの下に絵があります。
ラスト1話前の、はっきり切り出さない佐原に向かって電話で「ちゃんと言いなさい」で別れるところまでは読んでたのだが、最後はこうなっていたとは。
広告業界だからこのテンションの働く女子なのだけど、こんだけ仕事に逃げられるほど没頭できる仕事に就けてる(感情移入できる)読者はどれだけいるのかよくわからないけど…(潤いが要るというところはわかるが)
それにしても田中女史はなんか妙に若返ってる気がする…。
_ 雫井脩介『犯罪小説家』(双葉社)
『クローズド・ノート』の後で新刊で出ていたのは知ってたのだけど、買いそびれているうちに買い損ねたままになってしまって結局『殺気!』を先に買うことになってしまった本(単行本の既刊はあまり店頭に並ぶわけでもないし)。
待居涼司の小説『凍て鶴』が賞を受賞する。『凍て鶴』に並々ならぬ関心を抱いているという人気脚本家の小野川が映画化しようとするが、小野川は待居の住む多摩沢で起きた、自殺系サイトの管理人・木ノ瀬蓮美が自殺した事件のイメージを重ねて、『凍て鶴』を「多摩沢文学」と位置付けて 自殺に持っていこうとする。そのうちにインスピレーションを得るためといって『凍て鶴』そのものよりも木ノ瀬蓮美自殺をめぐる事柄を掘り起こし出して行き…。
という感じで、途中は「犯罪小説家」というタイトルと結びつかない展開があるのだが、これは最後には回収される。
ライターの今泉が木ノ瀬蓮美の事件を追いかけていって、当時の関係者をだんだんと特定していって、とうとう最後の事実に近づいていく…という高揚感はあるのだが、それでも"犯人"というか疑惑の人物がはっきりしないまま進んでいく。最後にはわかるのだけど、途中までが非常に淡々としているところが雫井脩介らしい気がする。
しかし、今泉は待居を差し置いてほとんど語り手と化して『クローズド・ノート』でいえば香恵のようばポジションなのに、あんな目に合わせるなんて、小説家は冷酷だ :-)