2010-01-02(土) [長年日記]
_ 宮村優子/磯光雄『小説 電脳コイル(10)』(トクマ・ノベルズEdge)
楽しみにしているシリーズ。
新型サッチーが出てきたり、イサコが開いた扉をみて、ハラケンが中に入れさせてくれと頼んだり、ヤサコの家にヌルが現れて京子が連れて行かれたりと、イベントとしては原作後半に近い展開。
しかし、ここではヤサコがハラケンに告白したり、カンナから頼まれたりはしないのだった。
続きは3月ごろ。
_ 山本渚『吉野北高校図書委員会(3) -トモダチと恋ゴコロ-』(MF文庫)
気に入っているシリーズ。とはいえ改めて認識したが、今日マチ子の挿絵では認識しているが作者の名前を覚えていなかった。
今回は、ひとめぐりして、かずらと藤枝です。
_ ジャクリーン・ケアリー/和爾桃子訳『クシエルの使徒(1) 深紅の衣』(ハヤカワFT)
前にちょっと書いた、『クシエルの矢』のシリーズ続巻。あの後3巻がでて、『クシエルの矢』3冊が終わって次からはフェードルが女伯爵になってメリザンドを追いかける『クシエルの使徒』です。シリーズ全部だとあと3倍以上ありそうですが、、。
_ 石持浅海『君がいなくても平気』(カッパ・ノベルス)
12月に出た石持浅海の最新刊。
会社の同僚が急死した事件で、恋人の早智恵が犯人である証拠をみつけてしまう主人公。彼女とは相性はいいものの、結婚までは考えていないため、そのうち警察がつきとめてしまう前に無難に別れようと考えるが…。 (捕まった時に犯人の恋人と言われたくないから、という自己中心的な発想で)
「なぜ」がわからないものの、彼女が犯人だと気づいてしまった主人公は、別れるまでは周りからも気づかれないように彼女が犯人と特定されるのをさりげなく防ごうとするが、そのうちに第二の事件が起きてしまう。
いままでの石持作品とちがうのは、なまじ犯人を知っているという心理から犯人追及をしようとしない主人公が出てくるところか。まあ途中でヒントを得たところからは違うのだけど。それでも石持作品らしいのは、すべてわかっていて謎が解かれるのを見守るようなスタンスか。
最後は同じ石持浅海の『セリネンティウスの舟』のラストを連想しました。
_ 石持浅海『扉は閉ざされたまま』と『君の望む死に方』(NONノベル)
通販で買わず大型書店で在庫探しながら買ってたので、『扉は〜』を読んだのは11月で、『君の〜』は12月です。それに、入手可能な作品を買って行ってただけで、作品の位置づけとか調べないで買ってたので、この2つが関連してるのを知ったのは、『君の〜』を読み始めてからしばらくしてからだ(読めば当然気づくけど)。
石持作品の中ではやや実験的なところがあるのかも。
『扉は閉ざされたまま』は、通常は死体が見つかって話が進むのに対して、殺人を犯してからその死体が発見されるまでを描いたもの。
語り手である犯人は事件を知っているので、発見を遅らせようとさりげなく誘導するが、一人だけ騙されない人物がいた…。
この話は、遅らせようとするのが、騒ぎになるのを遅らせたいとかアリバイを成立させようとしているのか理由がよくわからないままなのがポイントですな。
『君の望む死に方』は、事件としてはつながりはないものの、登場人物が重なっている。こちらの話の構造は、自分を殺したがっている相手に対して、自分を殺すいいタイミングを用意してあげようと決意したところから事件が起きるまでを描いた、これまた通常と違う部分を描いた話。
こちらもうまく誘導して作為に気づかれないように事件を起こそうとしているのに、一人だけ気付いた人間がいた…っていうのがまた彼女です。できすぎなところもあるけど、この洞察力恐ろしすぎです :-)
しかも殺人事件なんてもうこりごりですとか言ってるけど、別に止めないし咎めもしないからな、あの子は :-)