2010-10-23(土) [長年日記]
_ 飛鳥井千砂『学校のセンセイ』(ポプラ文庫)
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最近文庫化された本。
今まで文庫は『はるがいったら』しかなかったのに、飛鳥井千砂『アシンメトリー』を読み終えた次の日に店頭に並んでいたので「次はこれを読めと言うことですか?」という感じ。
主人公は私立高校の先生をしているが、仕事を探していたので仕方なくやっているだけで熱意もないし、面倒ごとに関わりたくないと思っている面倒くさがり。授業のじゃまをする生徒や自分に好意を持っているらしい女生徒や、頑張ってるけど折れてしまいそうな同僚の先生とかにも自分からは動かないでやり過ごしたいと思っている。
名古屋で仲がよくなった女友達も、さばけたやつだからあまり女を意識しないでつきあってこれたけど、たまに恋愛モードで相談や愚痴を聞かされるときはどうしても避けてしまう。(あわよくばとエッチに及んでもその後どうなるかもわからないし)
それでも学年主任の先生からは、生徒たちに正面から向き合わずに「流している」ことをやんわりと注意されたり。
そうこうしているうちに色んな問題が次々と大きくなってきて韜晦している訳にもいかなくなってきて、、、。
という感じで、学校の先生を書いていてこんだけ後ろ向きなのも珍しいと思うが、何かと言えば面倒くさいとつぶやかれると読んでるとちょっとネガティブになってきたり。
そういえば飛鳥井千砂の主人公は基本的には途中まではマイナス思考なのが多いのだった。仕事の都合で故郷に戻ったが故郷が嫌いなのとか、引きこもってネット掲示板を見ながら自分を慰めてみたりとか、相手の人生に影響を与える人事担当になるのは避けたいとか。マイナスというか、普通にいる人間と言った方がよいかもしれないけども。
最後はいろいろイベントが集中したかと思ったら、何かが変わって何かが落ち着いたりするのだけど、相変わらずドラマ性はないのだよね。淡々と書かれている。
それはそうと主人公の周りでツィギーとか全く知らんって、設定狭すぎないかしらん。まあ知らないことを利用したプロットではないので話に影響はないのだけど、読んでいると回りくどさに違和感が。もしかすると知らないと、名前を調べるということに持って行けなかったからかもしれないが。
他の作品では何人かの視点に切り替わるのだけど、この作品ではモノローグは一人だけだった。